批判続出。一流アタッカーを輩出しなくなったブラジル (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

 無秩序なチームは凡庸な集団に成り下がった。

 口ひげと鼻の大きさに特徴のある指揮官は、「選手ありき」で考え抜き、自信を持ってセレソンを作り上げたはずだ。彼はモウリーニョ(チェルシー監督)、ラニエリ(前モナコ監督)らと同じく、守備をベースにしたカウンター戦術の信奉者だが、攻撃的な選手を忌み嫌ってはない。その証拠に、ポルトガル代表監督時代には、フィーゴ、ルイ・コスタ、デコ、C・ロナウドを共存させている。

「ネイマールの代わりはいない」

 スコラーリは、フットボール界を明るくする特別な選手を中心にする決断を下したのだろう。それは一つの賭けと言えた。ネイマールの代役はベルナール、もしくはウィリアンだったが、彼らは“非常灯”だった。

 どんな選手がいるか。

 フットボールにおいて、それはプレイスタイルを決定する。勝つこともあれば、負けることもあるだろう。勝負の行方は見えない。セレソンが2試合続けて無残な姿をさらすこともある。ブラジルW杯はその醍醐味を与えてくれた点で、とても贅沢な大会だった。

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