2014.07.07

一流の采配者となったオランダ監督ファン・ハール

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

 ファン・ハールはそう説明している。

「90分が終わる前まではいいプレイはしていたし、二人交代した後は交代の必要はないと思っていた。監督としては、ケガ人が出る事態やファン・ペルシーなど疲労している選手のことも考える必要があったからね。クルルの投入を意識したのは、延長に入ってから。デリケートな決断だったが、クルルはすべて的確な位置に飛び、実際にストップし、交代の正当性を証明してくれた。もちろん試合前には彼になにも話していない。ただ、準備だけはしていた。うまくいかない可能性だってあった。クルルのことは誇りに思うよ」

 勝利するためにはひとつのことにこだわらず、状況に応じて最善の選択をすることが指揮官には求められる。例えば小柄な選手の多いチリ、メキシコ戦、ファン・ハールは高さを武器にするカイトをサイドでぶつけ、相手を消耗させている。その柔軟性こそ戦いの極意なのだろう。

 自分の戦い方を追求していた時代のファン・ハールは、それで世界の頂点に立った。しかし今の彼の方が、采配者としては成熟しているはずだ。準決勝はアルゼンチンとの一戦になる。はたして、オランダの名将はどのような策を打つのか。

 一流の采配者のお手並み拝見である。

 

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