アルゼンチン優勝のカギは「砂漠の中の水」次第 (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

 ただし、逆に言えば、メッシが消えれば砂漠から水がなくなってしまうわけで、たちまちチームは苦況に陥ることになる。この試合でも、ひとり好調を維持するディ・マリアがピッチを去った後は、ベルギーにとっての脅威がメッシだけに絞られてしまい、メッシからも、チーム全体からも、次第にアグレッシブさが消えうせていった。

 もし、ベルギーにもう少しだけ決定力と幸運があったなら、アルゼンチンは同点に追いつかれていてもおかしくない試合展開だった。1点を追うベルギーが、後半59分、60分と立て続けにロメル・ルカクとドリース・メルテンスを前線に投入してから、アルゼンチンは防戦一方となり、最後はメッシを前線にひとり残して、その他全員が守備に徹するという態勢をとったのである。

 結局、アディショナルタイムには、カウンターからメッシがGKと1対1という決定的な場面を迎えたものの、これはGKティボ・クルトワの必死のセーブに遭い、試合は1−0のまま終了。パワープレイでもゴールを割れなかったベルギーに対し、アルゼンチンは虎の子の1点を守りきることに成功し、準優勝した1990年大会以来、24年ぶりにベスト4進出を決めたのだった。

 さて、準決勝の相手はオランダである。アルゼンチンがこれまで対戦してきた相手とは、少々異なる難しい相手だ。メッシは準決勝の舞台で砂漠の中のオアシスとなるのかどうか? アルゼンチンの行方は、やっぱりメッシ次第となりそうだ。
  

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