ブラジルの寝技に屈す。美しき敗者コロンビア (2ページ目)

  • 杉山茂樹●分text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 相手からボールを奪いマイボールに転じると、そのほとんどをチャンスに結びつけた。コロンビアのそれ以降の攻撃にはすべて、ゴールの匂いが漂うことになった。ブラジルの守備が破綻をきたしていたわけではないのに、だ。

 その中心にいたのがハメス・ロドリゲスになるが、彼のドリブルとパスのバランスと、チームのそれとが一致しているところに、コロンビアらしさがあった。ネイマールとブラジル代表の関係以上に円滑だった。アルゼンチンにおけるメッシのように、彼ひとりだけ違ったリズムでサッカーをしていたわけではない。つまり、ワンマンチーム度は低かった。

 試合は手に汗握る大接戦。フォルタレーザのスタンドを埋めたブラジル人は、コロンビアボールに転じるや不安に駆られ、硬くなった。試合時間があと5分あれば、勝負の行方はどうなっていたか分からなったと言っていい。

 今大会、ブラジルの試合を生観戦するのはこれが4試合目になる。少なくとも前半の戦いは、これまでの中で最もいい感じだった。いい入り方をしていた。

「今日のブラジルはなかなかいいぞ」。そう思った次の瞬間、チアゴ・シウバの先制ゴールが生まれていた。

 これまでのブラジルと何が違ったか。右サイドバックに、ダニエウ・アウベスに代わりマイコンが入ったこととそれは大きな関係がある。D・アウベスは前に出て行くことを義務づけられた選手。高い位置で攻撃に絡む選手として位置づけられているが、ブラジル代表には、バルサと違ってD・アウベスとサイドで絡む選手がいない。その周辺に三角形ができていないので、単独攻撃になる事が多かった。小兵のD・アウベスにとって、それは歓迎すべきことではない。ブラジル代表としても好ましくなかった。D・アウベスの攻撃参加をアテにしているのに決まらない。逆にその背後は穴になる。これこそが攻撃の波に乗れない原因の一つだった。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る