オチョア、ブラーボ、ハワード...。W杯を盛り上げる名GKたち (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

「我々は毎日の練習でセービング率を高めている。ただ、一流のアタッカーはシュートの一瞬で駆け引きをしてくるのさ。わずかにタイミングを外したり、ずらしたりね。メッシがゴールを量産しているのは寸前まで我々の動きを見極め、フェイクを入れ、反応できないところに蹴り込んでいるからさ」

 アスレティック・ビルバオのGKイライソスはかつてそう説明していたが、これは逆に言えば、最後まで駆け引きできる胆力を持つGKこそが一流、ということになる。

 その点、世界で最も高いゴールキーピングを見せているのは、ドイツのノイヤーだろう。彼は迫力からして違う。冷静にボールの行方を観察し、決断したら迷わない。例えば劣勢を強いられたアルジェリアとの一戦でも、決定的なFWの抜け出しを判断良く飛び出して2度は防いだ。彼がペナルティエリアから出なかったら、失点を余儀なくされていただろう。

 ゴールキーパーは狂気を制御しながら戦う。それ故、うまくコントロールできずにミスが出ると、あり得ないミスが連鎖することもある。それがスペインのカシージャスに起きた悲劇なのだろう。

 すべては心の持ちよう。守護神も生身の人間なのである。


  

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