大健闘。敗れてもなお、アメリカ代表の未来は明るい

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

 敗戦チームのGKでありながら、この試合のマンオブザマッチに選ばれたことも、いかにハワードの出来が際立っていたかを物語る。延長に入って2点を失いはしたが、それでこの日の彼の評価が下がることはなかった。

 アメリカはハワードの好セーブを無駄にはしまいと、2点のビハインドを追って延長後半に猛反撃。延長戦から途中出場した19歳のグリーンが難しいボレーシュートを決めて1点を返し、なおも決定機をつくった。結果的にあと1点が届かず敗れはしたものの、アメリカの健闘は攻守両面で光っていた。

 120分間全体の試合内容を考えれば、ベルギーの勝利は妥当な結果である。それでも試合後、より大きな声援を受けていたのがアメリカであったことは、彼らの戦いぶりがどれほどスタンドの人たちの目を、気持ちを引きつけていたかを物語る。

「このチームと選手たちを、とてもとてもとても誇りに思う」

 アメリカを率いたユルゲン・クリンスマン監督はそう言って、最後まで戦い抜いた選手たちを称えた。

 前回大会に続くベスト16進出。結果だけを見れば、アメリカは4年前に続き、再び決勝トーナメント1回戦の壁を越えられなかったことになる。

 それでも「若きアメリカ」は、未来への明るい材料を見出すことができた。

 ベルギー戦に先発した11人だけを見れば、最年少は88年生まれのDFゴンザレス。特段に若さを強調するほどの年齢ではない。だが、ベンチに目を移すと、90年生まれが3人、93年生まれがふたり、そして最年少に95年生まれのグリーンと、90年代生まれの選手が6人も含まれている。アメリカ代表の次代を担うタレントが着実に台頭してきているのである。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る