アルゼンチン苦戦の原因はメッシにあり (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama
  • photo by JMPA

 サイドにウイング然と置けば、対峙する相手サイドバックの攻撃参加を許しやすくなる。イラン戦、メッシがいるべきアルゼンチンの右サイドは完全な穴になっていた。相手の狙い目になってきた。

 そしてこの日は真ん中。アルゼンチンの中盤の構成力が酷く弱く見えた理由は、メッシのポジションと深い関係がある。

 とはいえ、アルゼンチンは延長後半13分、メッシのドリブルから待望のゴールを奪った。ディマリアの決勝ゴールにアシスト役として絡んだ。最後の最後で役者ぶりを発揮した。

 さすがメッシ。話はそのような方向で決着するだろう。ネットの見出しはそうなるに違いないが、スイス相手に大苦戦した理由の多くもメッシにあるのだ。

 もしスイスが、アルゼンチンに対して最後まで引かず、高い位置から果敢にプレスを掛ける作戦に出ていれば。最後の最後、延長後半のロスタイムに、ジェマイリが放ったヘディングシュートが、あと数センチポストの内側に飛んでいれば。その跳ね返りが、彼の身体のもう少し良い場所に当たっていれば、結果はどうなっていたか分からない。

 アルゼンチンの次の相手は、アメリカを延長で破ったベルギー。本命ブラジルに比べ、組み合わせに恵まれたといえるが、1番人気、2番人気が無事決勝で顔を合わせる確率は、せいぜい20%ぐらいではないだろうか。本命不在の大混戦。決勝トーナメント1回戦、8試合中5試合が延長にもつれ込む空前の展開は、どのような決着を見るのか。メッシが今のままなら、アルゼンチンはない。自信を持って(?)そう言い切っておくことにしたい。
  

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る