攻撃サッカーを放棄?オランダは変わってしまったのか

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

「私は以前、AZ時代にこのような戦い方でリーグ優勝している」

 そう、実はファン・ハールは、2002年にバルセロナで2度目の監督を務めた後、自分の哲学やシステムに選手を当てはめるだけのやり方を捨て、2005-06シーズンの途中からオランダの古巣AZで監督として再出発。その当時から、4-4-2、4-2-3-1、さらに時には3バックなど様々なシステムを使い分け、カウンター攻撃を武器としたチームでタイトルを手にしているのである。

 それを考えれば、今大会の現実的なサッカーは、ファン・ハールらしいスタイルという解釈になるのかもしれない。

 ただ、個人的には、攻撃的で華々しいサッカーを貫くオランダを見たいし、むしろこの日の試合で言えば、試合中に3つのシステムを段階的に使って攻撃的に戦い続けたチリのホルヘ・サンパオリ監督を称賛したいというのが正直なところだ。

 もっとも、ファン・ハールにとって、そんな第三者の希望などはどうでもいい話だ。重要なことは、オランダがグループ首位で決勝トーナメントに進出し、1回戦でグループA2位のメキシコと対戦することが決まった事実である。

 おそらくその試合でも、ファン・ハールは現実的な采配を続けるに違いない。

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