ルーキー時代のメッシが語っていた独特のアルゼンチン愛 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

「話すことなんかない。ピッチでの自分を見て欲しい」

 彼は当時からそう訴えていた。

 ボールと対話するとき、彼は人を驚かし、ため息をつかせ、感動させられる。彼を媒介者にして、フットボールはエモーションに、エモーションはフットボールになる。それは神から与えられた能力かもしれない。

 6月21日、ベロオリゾンテ。グループリーグ第2戦、アルゼンチンは体を張ったイランの守りに攻めあぐねる戦いが終盤まで続いた。戦況を打開したのは、メッシだった。ドリブルで持ち込むと、20mの距離から、GKの手の届かない、ファーポストぎりぎりに左足で巻くようなシュートを決めた。

 それは感動で体が痺れるようなゴールだった。やはり、メッシにインタビューは必要ない。

 決勝トーナメント進出を決めたアルゼンチンは25日(現地時間)、ナイジェリアと対戦する。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る