急成長ベルギー2連勝。だが組織力欠如で今後に不安も

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 MFグルシャコフのセンタリングを、CFココリンが決めていれば、試合は違った結果になっていた可能性が高い。

 後半に入るとベルギーにはますます危ういムードが立ちこめ始めた。

 ベルギーの選手のクオリティは、一時に比べ遙かに上昇した。無骨で荒かったかつてのイメージはもはやない。しかしMFアザール以外、本当の意味で巧さのある選手はない。アザールに次ぐテクニシャンである右ウイングのメルテンスにしても、一昔前、隣国オランダ代表のウインガーとして鳴らしたオーフェルマルスに比べると大きく落ちる。まあまま巧い選手。だとすれば連係、高度な組織力が不可欠になる。

 だが、そのパスワークには落ち着きがない。タメが利いていないので、ハッとする展開がないのだ。

 相手ボールを奪い返す術も不足している。ロシアボールになると、ベルギーの選手は途端に元気がなくなった。いやな気持ちでプレイしているようだった。守備的MFヴィッツェル1人が穴をカバーするサッカーは、集団性の低い、上等とは言い難いものに見えた。

 大袈裟に言えば、欧州予選を戦っている頃とは別人のようである。予選突破を決めたクロアチアとのアウェー戦などでは、きわめて高級な戦いをしていた。数ヵ月でチーム力は急降下した。僕の目にはそう見える。

 当時と最も調子に落差がある選手は1トップ下のフェライニ。アルジェリア戦でも精彩を欠いたが、このロシア戦でも回復の兆しは見られなかった。調子はかなり悪そうだ。

 そして1トップのルカク。彼は動きも反応も鈍かった。得点を決めそうな匂いのまるでしない、平凡すぎるFWに成り下がっていた。

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