ブーイングに自滅?D・コスタはなぜスペインを選んだか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 それが2012年にアトレティコ・マドリードでディエゴ・シメオネ監督と出会い、そのゴールセンスを一気に開花させたのである。

<戦闘者のメンタリティ>

 それが指揮官とシンクロしたのだろう。

「今日のブーイングが、悪い影響を与えたとは思えない」

 スペインのビセンテ・デルボスケ監督はそう言って試合後に弁護している。

 しかし、耳をつんざく罵詈雑言を一心に浴び、無関心ではいられない。PKにつながる抜け出しなど持ち味も見せたが、シュートシーンでは本来の冴えが見えず、心ここにあらずだった。PKを取ったプレイの後には、人差し指を立て唇を叩き、スタンドに向かい「黙れ」と怒りのメッセージを送った。後半にはマーカーにいらつき、頭突きまで繰り出した。退場を宣告されても、言い訳はできなかった。

「リーグ戦終盤はケガの連続で、コンディションの問題がある」

 スペインのメディアはそう結論づけるが、精神的充実があれば、コンディションは補えるはずだ。

「俺たちにとって、今日はいい日ではなかった。ブーイング?俺はスペインを選んだ。それに関して他人が何をしようと構わない。前半のスペインはいいプレイができることを証明したし、こんなものではないチームであることを知っている」

 ジエゴ・コスタは前を向いていた。ブラジルを旅立ったときのような強い決意を見せられるか。W杯は短期決戦。時間的猶予はない。

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