ドイツの死角。定まらない最終ラインと多彩すぎる攻撃陣 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

「マルコの代わりを招集したわけじゃない。前線にはうちは多くのタレントがそろうので、後ろを補強した。シュコドランは合宿中にとても良かったし、100パーセント信頼に足る選手だってわかっている」

 メンバー23人を見ると、FW登録がクローゼ一人だけだったことが物議をかもしたが、攻撃的MFのシュールレ、ポドルスキー、ミュラーらがワントップに入ることもできると考えると、レーヴが言うように心配すべき点ではなさそうだ。実際にアルメニア戦は6得点で快勝。速攻ありコンビネーションありと、強豪らしくいくつものゴールのパターンを見せた。

 それよりも定まらないのが、意外にも最終ラインだ。左SBが本職のシュメルツァーを招集せず、1日のカメルーン戦ではドゥルムを、5日のアルメニア戦ではヘベデスを試した。どちらの試合も、つまりドゥルムであってもヘベデスであっても、サイド攻撃を武器とするチームを相手にした場合の不安は残った。特にヘベデスは所属のシャルケでCB、もしくは内田離脱の際の右SBでプレイする選手。左でプレイさせるのは難しそうだ。また、右SBで出場したボアテングも、ここ数年バイエルンではCBとしてプレイしていることもあり、縦の突破に苦労する場面が見られた。

 ボランチもまだテストの色が濃い。カメルーン戦ではケディラとクロースを、アルメニア戦ではケディラとラームを組ませた。ラームは本来SB、クロースは攻撃的MFの選手だが、所属のバイエルンで新境地を開いたポジションを試してみたということなのだろうか。ただし、ここにシュバインシュタイガーが入ってくることを考えると、ラームは左右どちらかのSBに戻るだろう。いずれにせよ最終ラインの形が未だ見えないことは若干の不安点でもある。

 前線もまた大幅に変更を加えながらメンバーを調整しているところだが、ここはあまり心配はなさそう。2列目中央の大本命はエジルだが、クロースを2列目でプレイさせても遜色はなさそうだ。

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