ボリビアに快勝。ギリシャは堅守だけのチームではない

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Getty Images

 ボリビアを相手に2点を先制しながら、1点を返されたギリシャだが、その戦いぶりは危なげなかった。

 21分に右サイドのサルピンギディスのクロスを中央でコネがヘッドで合わせて先制すると、54分にもホレバスの右CKからカツラニスがヘッドで決めて2-0。その後、70分にGKカルジネスの軽いプレイもあってボリビアに1点を返されたが、これはほぼゲームの行方が決まった中での事故のような失点とも言え、あまり参考にならないかもしれない。

 得点力不足が囁かれるギリシャだが、先のポルトガル戦やナイジェリア戦を含め、攻撃の回数こそ少ないものの、チャンスの際の迫力は十分に感じられた。先制点の場面を振り返っても、右からのサルピンギディスのクロスに、ニアにゲガス、ファーにサマラスが入り、その真ん中にフリーのコネが飛び込んでくる。多くの時間帯で守備的に戦うものの、1度チャンスのスイッチが入ると人数をかけて攻撃を仕掛けてくるのがギリシャの特徴ともいえる。

 この日のゴールは右からのクロスとCKだったが、基本、攻撃の起点は左ウイングのサマラスと左サイドバックのホレバスのオーバラップとなる。日本は、左サイドに張り出す長身のサラマスに内田篤人がマッチアップすると思われるが、後方から上がってくるホレバスを含め、ここをどう抑えるかが勝敗を分ける大きなカギとなるだろう。

 また、この日中盤では、これまでアンカーを務めていたツィオリスに替わってコネが起用されたことで、ベテランのカツラニスがアンカーに入った。このことで中盤のバランスが改善された。セリエAのボローニャ所属のコネの攻守に顔を出す運動量によって、34歳のベテランとなったカツラニスの負担が軽減され、カツラニスも中盤の舵取り役に専念できるのかもしれない。

 この件についてサントス監督に聞くと「個々の評価はしたくない」とのことだったが、その表情は満足げだった。ただし日本にとっては、予選でチーム得点王だったエースのミトログルが、この試合でも途中出場ながらシュートらしいシュートを打てず、不振に陥っているのは朗報とえるだろう。

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