圧倒的な身体能力!W杯で相手を怖がらせるセンターバックたち (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 そうした中にあってセルヒオ・ラモスは異質だ。高い身体能力を持つ。飛んだり跳ねたりする能力、そして直進性にまず目を奪われる。勝負根性も並外れている。ここ一番で頼りになる存在。お得意のパスサッカーが行き詰まりを見せた時の、まさに非常手段として、レアル・マドリードのみならず、スペイン代表にとっても欠くことのできない貴重な存在になっている。

 この決勝戦では、アトレティコの先制点もヘディングシュートだった。得点者はCBのゴディン(ウルグアイ代表)。マーカーだった敵のMFケディラと競り合う態勢に入ったとき、ゴディンは不利な体勢にあった。ケディラが勝つものと思われた。ところが、ゴディンのジャンプは上方にグイグイ伸びていく。ケディラの頭がボールを捉えようとした瞬間、その上に出た。

 触っただけではないところが、また凄かった。ゴール方向に強く弾き返したのだ。ヘディング職人。ゴディンをひと言でいえばそうなる。腰が軽いのだ。空中に、いきなりふわっと浮く。想起する選手は、パサレラでありアジャラ(ともに元アルゼンチン代表)。最近ではアレックス(元ブラジル代表/PSG)だ。

「空中戦に強い」という言い方は抽象的だ。浮くのが得意な選手。打点が高い選手といった方が分かりやすい。

 基本的に足でボールを操作するサッカーにおいては特殊な力になる。試合のゆくえの予想にも、大きな影響を与えることはない。レアル対アトレティコの決勝戦で、お互いのCBのヘディング能力がこれほど重要な意味を持つことになろうとは、戦前、誰が予想しただろうか。

 W杯はCL決勝同様、ホーム&アウェーの180分の勝負ではない。試合時間は限られている。あまり語られることがないCBのヘディング能力は、思いのほか重要になる。

 CL決勝で、セルヒオ・ラモスとコンビを組んだフランス代表の若手バラーヌも、高い打点を持つCBだ。レアルでは普段はペペ(ポルトガル代表)の控えに甘んじているが、フランス代表では欠かせぬ戦力になっている。身長(191cm)も高い上にジャンプ力もある。加えてフットワークがいい。世界の一流になる日は近い。

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