マルセロ型とコエントラン型。W杯を彩る強力サイドバックたち (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 ただ、スペインリーグを代表する右サイドバックは、ダニエウ・アウベス(ブラジル代表/バルセロナ)になる。前回南アフリカ大会では、マイコン(ローマ)との争いに敗れ、左に回ったり、一列高い位置で起用されたりしたが、今回は、右サイドバックとして、バルサ仕込みの攻め上がりを見せることができる。

 サイドバックの活気溢れるプレイは、優勝を義務づけられた国にとって、大きな救いになる。固さをほぐす役割がある。マルセロ、ダニエウ・アウベスの活躍度と、開催国ブラジルの成績は比例関係にあるといってもいい。

 同じことは他国についても言える。サイドバックをいかに使うか。有効に絡ませるか。現代サッカーでは、これこそが最も重要なポイントになる。サイドバックの活躍と、勝利とは密接な関係にある。

 日本とグループリーグで対戦する相手のサイドバックでは、スニガ(コロンビア代表/ナポリ)と、トロシディス(ギリシャ代表/ローマ)の2人が光る。ともに右サイドバックだが、前者は抜け目のない機動力が、後者はトータルなバランスが売りだ。対面する香川真司のディフェンス能力が問われることになる。

 そこだけを考えれば、大久保を使った方が遙かに有益だ。そのディフェンス能力は4-3-3のウイングで起用された4年前の南アW杯で実証済み。

「サイドバックの攻め上がりをどう抑えるか。強者と対戦する場合は、それこそが一番のポイントになる」とはオシムの言葉だが、言い換えれば、それは高い位置で構えるサイドアタッカーの相手ボール時の対応のことだ。

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