コートジボワールの両ウイングを日本が警戒しなければならない理由 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama
  • photo by Getty Images

 そのうえ勤勉だ。ジェルビーニョもそうだが、思いのほか忠実に守備に回る。日本のサイドバックの攻め上がりを抑え込む力も備えている。真ん中にヤヤ・トゥーレ、トップにドログバを擁すコートジボワールの攻撃陣は強力そのもの。ゼロ点で抑えるのは不可能だろう。

 右サイドに右利き、左サイドには左利きを配置するチームは、年々少なくなっている。もはや王道ではなくなっている。その逆、すなわち右サイドに左利き、左サイドに右利きを配置する方がもはや一般的だ。その代表例がバイエルンのロッベンとリベリーの関係になる。

 オランダ代表におけるロッベンも右。左は右利きのレンス(ディナモ・キエフ)が務める。昨年11月、ゲンクで行なわれた日本戦では、日本の右サイドバック内田篤人の背後を再三突き、日本の守備陣を混乱に陥れた。腰の据わった低重心のフォームは決して華麗ではないが、威力十分。もちろん切れ込んでのシュートもある。

 ジェルビーニョ、カルー、ロッベン、レンス、そして岡崎。サイドアタッカーには、彼らのようなFWタイプの選手もいれば、MF的なタイプもいる。リベリーはMF系の代表的な選手になるが、それはサイドに位置するゲームメーカーと言ってもいい。サイドでどれほど、アイデア豊富にプレイできるか。それは今日的な選手か否かのバロメーターになる。

 リベリーに今日度で迫るのは、アザール(ベルギー代表/チェルシー)だ。サイドアタッカー兼ゲームメーカー。選択肢はとにかく豊富だ。内か縦か。方向性のバランスも申し分ない。日本人が見習うべき選手といっていい。

 アザールをややFW的にしたのがロイス(ドイツ代表/ドルトムント)。縦への推進力はアザール以上。それでいて、中盤選手を彷彿とさせる滑らかさもある。これまでのドイツには存在しなかったアタッカー。彼の活躍とドイツの成績は比例関係にある。僕はそう見ている。

 同じくブンデスリーガで活躍するソン・フンミン(韓国代表/レバークーゼン)、ロッベン、リベリーの陰に隠れて出番は少ないが、鋭い切れ味を持つシャキリ(スイス代表/バイエルン)。そしてプレミアで活躍するミララス(ベルギー代表/エバートン)、バレンシア(エクアドル代表/マンチェスター・ユナイテッド)も、チームの浮沈のカギを握る注目選手だ。

 彼らのようなタイプが数多く日本に出現すれば、サッカーのレベルは、いまより確実に前進する。僕はそう思って止まない。


欧州サッカーの旗手たち(1)~センターフォワード編

欧州サッカーの旗手たち(2)~サイドアタッカー編

欧州サッカーの旗手たち(3)~攻撃的ミッドフィルダー編

欧州サッカーの旗手たち(4)~守備的ミッドフィルダー編

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