コートジボワールの両ウイングを日本が警戒しなければならない理由 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama
  • photo by Getty Images

 ブラジルで台頭著しいのが、ウイリアン(チェルシー)だ。アトレティコに敗れたチャンピオンズリーグ準決勝では孤軍奮闘。ネイマールや、フルク、オスカルよりいいのではないか。先発でもいけるのではないか。そんな気にさせる活躍だった。何より優れているのは機動力。前に出るスピードが彼の魅力。右も左もできる。ポジションを苦にしないので、監督にとっては実に使い勝手がいい。サブに置いておくにはもったいない。

 そのブラジルに、昨年のコンフェデ杯決勝では0-4で敗れたスペイン。このチームの問題は、中盤に優秀な人材が多いため、基本布陣である4-2-3-1の3のどちらかのサイドに、そのうちの1人を置く必要に迫られることだ。もしイニエスタが左ウイングで登場すると、その4-2-3-1は4-2-2-2に近くなる。古いブラジル式に陥りがちだ。

 したがって前半は大抵苦戦する。良くなるのはサイドアタッカーが登場する後半だ。ペドロ(バルセロナ)、ヘスス・ナバス(マンチェスター・シティ)、サンティ・カソルラ(アーセナル)が登場すると、滞っていた流れはスムーズになる。彼らを頭から使えないところ、使いにくいムードがあるところ、中盤過多に陥りやすいところ、その結果、真ん中に固まりやすいところにスペインの問題は潜んでいる。日本と共通する問題を抱えているわけだ。

 そういうチームは、攻守が切り替わるとサイド攻撃を浴びやすい。イニエスタと同じで、香川が真ん中でプレイしている状態で攻守が切り替わると、日本の左サイドにいるのはサイドバック1人になる。強力な右ウイングのいるチームは、日本の脅威になる。

 初戦の相手、コートジボワールがまさにそれだ。ジェルビーニョ(ローマ)はアーセナル時代より、明らかに良くなっている。出場機会が増えたこともあるが、イタリアにあっては攻撃的なローマのサッカーに見事にはまっている。馬力溢れる縦への突進力を日本はどう止めるか。穴になりやすい場所をジェルビーニョが突く姿がいまから想像できる。これは、ザッケローニが真っ先に講じるべき対策だろう。

 コートジボワールは、左にもサロモン・カルー(リール)というサイドアタックの専門家を擁している。左で構える右利きの選手は、ともすると縦勝負を避け、内に切れ込む傾向が強いが、カルーはバランスがいい。両方均等にプレイする。内へ切れ込んでも良し、縦勝負を挑んでも良し。

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