元イタリア代表・名DFが指摘する「本田圭佑の問題点」 (3ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 ラツィオ戦(第29節=3月23日)で、“右サイドの本田”が誤りであることを証明するシーンがあった。ラツィオのDFラドゥを抜いてタッチライン際へボールを運んだところまでは良かったが、“右サイド”でプレーしていた彼は、敵陣の深い位置からのクロスを“右足”であげる以外になかった。そのクロスは、厳しい言い方をすれば、セリエAではあり得ない劣悪なものだった。

 クロスを入れるまでの時間も、相手DFとの間合いも十分あったにもかかわらず、さらに、ペナルティエリア内ではFWパッツィーニが的確に敵DFのマークを外しており、クロスを入れる標的が明確だったにもかかわらず、だ。これでは周囲の評価は厳しくならざるを得ない。

 したがって、現時点の私の考えは、ミランが4-2-3-1で固定されている以上、また、「3」の中央にはカカがいる以上、“理”に逆らうことなく左利きの本田を左のエリアで起用してみてはどうかというものだ。

 選手の利き足とは逆のエリアで起用することが昨今の流行であることは知っているが、現実には、本田が右サイドから中央に切り込んで左足でシュートを撃てる場面が1試合で何回あるか? 平均すれば1度か2度に過ぎない。

 そうであれば、彼を左サイドで起用すべきではないか。もちろんそれが古い考え方であることは知っている。だが、ここで話しているのがメッシやロッベン、クリスティアーノ・ロナウドといったレベルの選手であるのならばともかく、そうではないのだから、より“自然な”起用法を考えるべきではないだろうか。

 そもそも現在の本田は、シュートを枠内に飛ばすことさえできていない。そして「3」の中央での起用が無理ならば、やはり左サイドで試すべきだ。その質の高い利き足を活かすために。

――では、仮に本田がその適正に即したポジションを見出すとして、彼はここイタリアで真価を発揮し、「ミランの10番」に相応しい選手となれるでしょうか?

 今の時点では「分からない」としか言えない。いずれにしても、今の本田は周囲のサポートを必要としている。チーム全体が彼を支えなければならない。来季のミランがどのようなメンバーで構成されるかによるところが大きいとしても、サポートを十分な形で受けることができれば、本田はその期待にたがわぬ活躍をするだろう。

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