元イタリア代表・名DFが指摘する「本田圭佑の問題点」 (2ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 そうは言っても、サッスオーロ戦後の本田がいい流れをつかみかけていたのも事実だ。相手がセリエBのスペツィアだったとはいえ、イタリア杯(コッパ・イタリア=1月15日)で本田は初ゴールを記録しているし、第21節(対カリアリ=1月26日)でも、前半はともかくとして、後半はすばらしい動きを見せていた。

 しかし、その後失速してしまった――。もちろん、その要因は本田個人ではなく、ミランという組織そのものが極度の混乱に陥ったことにあるのだが、それでも本田個人に焦点を当ててみても、少なくない問題があったと言わなければならない。

 これはミラン内部を知り得ない私の推測に過ぎないが、今の本田が改善すべきは、局面ごとに"どの位置"にいるべきなのかを把握できるようになることにある。もちろん、それはどのポジションでプレーしようとも常に問われることなのだが、今までに限って言えば、本田は自らのポジショニングを読み違えているように思う。結果としてチームメイトたちとの距離の取り方にもズレが生じてしまう。そしてそのズレは、往々にして攻撃の組み立ての流れを滞らせてしまうことになる。

 とはいえ、そのような細かい部分を整えていくには、当然のことながら一定の時間を要するものだ。しかも、今季はミランという組織が極めて難しい状況に置かれていたのだから、その影響をモロに受けた選手たちに迷いが生じるのも致し方ない。あまりに多すぎるミラン内部の問題が、本田の力量を計る妨げになっている。したがって、彼の実力を評価するのは、やはり"来季を待つほかにない"と言うべきだ。

――イタリアでのプレーを観た今、本田に最も適したポジションはどこだと思いますか?

 確かなのは、本田に"ウイング"は適さないということだ。これは間違いない。あのポジションでプレーするために必要不可欠なスピードが彼にはない。また、左利きの彼を"右サイド"で起用するという考え方に私は賛同できない。

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