W杯で日本は止められるか。新タイプのトップ下プレイヤーたち (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 この時代、華のあるトップ下を探すことは決して簡単ではない。選手のキャラが、布陣の流行に大きな影響を受けることを改めて痛感する次第だ。エジルはそうした意味で貴重な選手だが、彼は、前回南アフリカW杯にも出場した選手だ。

 ハメス・ロドリゲス(コロンビア代表/モナコ)は、そのエジルを少なくとも新鮮さという点で大きく上回る。今大会、最も注目に値する選手といってもいいだろう。エジルと同じ左利きながら、よりダイナミックな選手だ。アクションが大きい。スピードもある。ドリブルにはキレに加えて推進力がある。

 コロンビアは南米予選では主に、中盤フラット型4-4-2で戦っていた。ハメス・ロドリゲスは、そこで左のサイドハーフを務めていた。ウイング色の強いサイドアタッカーとして活躍した。サイドでも十分、魅力的なプレイができる選手なのだが、より適役なのはやはり1トップ下だ。

 その点を考慮したのか、ペケルマン監督は最近になって布陣をいじった。ハメス・ロドリゲスを1トップ下に据える4-2-3-1を試している。

 エジルもそうだが、両方できてしまうところに今日的な匂いがする。監督にとっては使い勝手の良い選手。選択肢は自ずと増える。

 母国コロンビアでは「バルデラマ2世」と呼ばれているらしいが、バルデラマとは違う。スター性、存在感の大きさでは共通するが、プレイのタイプはまったく違う。バルデラマはショートパスを駆使したゲームメーカー。ポジションも低かった。まさに2トップ全盛時代の10番だった。対するハメス・ロドリゲスは、1トップ3FW型全盛時代の10番。この2人のプレイスタイルに、時代の違いは象徴される。

 コロンビアのサッカーそのものも当時とは激変している。バルデラマ時代は、典型的な「マイボールのサッカー」だった。ショートパスを徹底的に繋ぎ、着実に前進する姿は、お見事!と、拍手喝采を送りたくなるほど鮮やかだった。だが相手ボールになると途端に沈黙。相手ボールを奪い返す術に欠けた。良くも悪くも南米的。ブラジル以上に古典的なサッカーだった。

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