元ミランDF・コスタクルタから本田圭佑への激辛アドバイス (2ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 これから彼に求められるのは、できる限り彼自身が望む場所(ポジション)でプレーする機会を多く与えられることだろう。

 もっとも、彼が望むトレクアルティスタ(トップ下)でプレーするとしても、カカとの違いを僕らは目にすることになるだろう。

 本物の一流と呼ばれる選手は、ポジションが少しばかり変わろうとも実力を余すことなく発揮できるものだが、そうではない選手はやはり自らが最も望むポジションでプレーするよりほかはない。

――では、ミランOBだからこそできる助言を彼に贈るとすれば?

 これは単にミランOBとしてだけではなくて、イタリアに来た外国人選手のすべてに共通することとして言わせてもらえれば、とにかく失敗を恐れるな、と。当たり前のことすぎて申し訳ないんだが(笑)。でも実際のところ冗談でもなんでもなく、そう本心から思う。

 たとえばティエリ・アンリ、彼のイタリアでの日々(99年にユベントスに所属/18試合に出場し3得点)を覚えているだろう? それこそ気の毒なくらいに惨憺たるものでしかなかったけど、彼はその苦い経験を経たからこそ、次に向かったプレミアリーグで文字通り超一流になった(2007年までアーセナルに所属し得点王を4回獲得)。もちろん、アンリのような例を僕は他にも無数に見てきた。だから本田にも同じように伝えたい。 

 どれだけ激しいブーイングを浴びようとも、どれほど辛辣な批判に晒されようとも意に介すな、と。選手は失敗を重ねた分だけうまくなる。そして本田はその失敗という経験のすべてをムダにしないために必要な頭の良さを備えている。何もかもが違う国へ来てすぐに結果を出すのはもちろん簡単じゃないということも、彼は分かっていると思う。

――今の本田に最も重要なことが何であるかを教えることができるミランの選手とは?

 それこそが、ミランが低迷している原因でもある。現実に今のミランには模範となる選手があまりにも少ない。僕が現役だった当時は、常に10人を超える数の"超一流たち"がいて、ピッチの内外を問わず、彼らの立ち居振る舞いと毎日のトレーニングに取り組む姿勢、そして実際の試合における質の高いプレーをもって、新たに加入してきた選手たちに多くを教えていた。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る