ウイング兼ストライカーの時代!W杯にも続々登場

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 リバプールではスアレスとともに4-4-2の2トップの一角としてプレイするが、イングランド代表では4-2-3-1の3の右で出場。ウイング兼ストライカーとしてプレイする。1トップとして先発するルーニーも同タイプなので、こちらもメンバーのやりくりは楽になる。そのメリットをロイ・ホジソン監督が どこまで活かせるか。

 前回南アフリカW杯で、そのイングランドと死闘を演じたアメリカにも、ウイング兼ストライカーがいる。欧州でプレイはしていないが、お馴染み、ドノバン(ロサンゼルス・ギャラクシー)だ。 前回のアメリカは4-4-2で戦った。ドノバンはそのサイドハーフと2トップの一角と、2つのポジションをこなしたが、サイドハーフで起用される場合 は、その攻撃力が最大限には活かされなかった。

 だが今回、アメリカは4-2-3-1で臨む。ドノバンのポジションはその3の左だ。サイドハーフより高い位置 でプレイできる。サイドアタッカーとしてもさることながら、そこから切れ込んでの右足シュートにも期待が持てる。彼の能力はより活かされることになる。その優れた巧緻(こうち)性は32歳になったいまなお衰える様子はない。

 アメリカは、ドイツ、ポルトガル、ガーナとグループリーグを同組(G組)で戦うが、アウトサイダーにはならないはず。すべての試合で好勝負が期待できるだろう。

 メキシコ代表の左利き、ジョバンニ・ドス・サントス(ビジャレアル)も、注目の一人。トップもできればサイドもできるユーティリティ性が売りだ。 バルセロナに始まり、プレイしたクラブは、ビジャレアルが7チーム目。移籍を繰り返したため、存在が見えにくくなっていた。ともすると忘れがちな選手になっていたが、メキシコの中心選手としてプレイするW杯では存在感を示すはず。独特のタッチと突然放たれる左足のシュートは一見の価値有りだ。

 そしてチリのアレクシス・サンチェス(バルセロナ)。バルサではネイマールの陰に隠れ、控えに回ることが多いが、チリでは頼りになるエースだ。中盤ダイヤモン ド型3-4-3の右ウイングとしての先発が濃厚だが、彼には、右ウイングとしての能力と、遜色ないセンターフォワードとしての能力がある。そして何よりそれが、戦術的なサッカーをするチームにはまっている。エースにユーティリティ性があるチームは、W杯のような短期決戦に向いているとは、僕の持論だが、サンチェスを擁するチリもその一つ。同組(B組)で戦うスペイン、オランダが、このまとまりの良い集団に苦戦する姿は、いまから想像できるのだ。


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