ウイング兼ストライカーの時代!W杯にも続々登場

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 ドイツはかつて、3-5-2だった。ポドルスキー(アーセナル)は、その2トップの一角でプレイしていた。だが、布陣が4-2-3-1に変わると、4-2-3-1の3の左にポジションを変えた。ストライカー的な要素を多分に含むサイドアタッカーに、カラーを変えた。

 クリスティアーノ・ロナウド、メッシ、ベンゼマ、エトー、ルーニー、ファン・ペルシーも同タイプ。少しタイプは違うが、ロッベンもウイングのポジションに構えながら、ストライカー的な要素を同時に持ち合わせている選手だ。

 いまのバロンドール級の花形選手の多くはここに集中する。スター選手は従来、監督にとってともすると使い勝手が悪い存在だった。スター選手がいることの弊害は多く見られたが、いまの花形にそれはあてはまらない。チームの事情でポジションを変えることができる彼らは、使い勝手のいい選手になる。とてもスムーズな存在になった。

 それと、サッカー競技のマックス値の上昇とは大きな関係があると僕は見ているが、ウイング兼ストライカーの活躍は、今回のW杯の大きな見どころの一つでもある。

 決勝トーナメント1回戦で日本と対戦するかもしれないウルグアイのカバーニ(PSG)も、これに類する選手だ。ウルグアイは4-4-2でスタートするが、 後半フォルラン(C大阪)を投入すると、1トップ3FW型の4-3-3になる。カバーニのポジションは、PSGで務めているポジションと同じ右に変わる。 中央フォルラン、左スアレス。この3FWは異常なほど強力だ。大会屈指と言ってもいい。

 ウルグアイ代表は、昨年8月に来日。宮城で日本と親善試合を行なったが、この来日メンバーの中にカバーニは含まれていなかった。にもかかわらず日本の守備陣を木っ端微塵に粉砕した。

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