ベストゲームはアーセナル戦。香川真司の今季を振り返る (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 後半戦に入るとモイーズは今季初めて補強に成功。チェルシーからマタを獲得した。スペイン代表のレフティは2列目の攻撃的MFとしてプレイし、ショートからミドルレンジのパスで前線を操るだけでなく、得点能力も高い。プレイスタイルが香川とかぶるところが多く、香川がさらなる困難を強いられる要因ともなった。マタには、香川にはないセットプレイという武器もあり、チームにとっては文字通りの補強となった。

 香川自身は「CLは自分にとってのチャンス」と語っており、今季すでにチェルシーで出場しているマタがピッチに立てないCLに意欲を燃やしていた。だが皮肉なことに2014年に入ってからのCLで先発したのは、最終戦となった準々決勝セカンドレグ、アウェーのバイエルン戦だけとなった。ここでもモチベーションと結果がうまく噛み合ないまま終わった印象が強い。

 ローテーションでの起用が多くなるビッグクラブとはいえ、香川に実戦が不足しているのは明らかだ。試合出場を重ねることで徐々に調子を上げていく、というコンディション調整ができなかったことで、かなり厳しい状態でW杯を迎えることになる。香川にとって、事前キャンプでの調整は他の選手たちとはまた異なる意味を持つはずだ。

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