CL準決勝でレアル先勝。スペイン人の目にバイエルンはどう映ったか (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by Getty Images

 ゲッツェのシュートをセーブしたことでサン・イケル(聖イケル)と再びメディアに崇められたカシージャスは、そのシーンについても「特に難しいものではなかったけど、CL準決勝ということがそういう話にしている」と、決して肝を冷やすようなシュートではなかったと語っている。

 一方、チームのボールキープ率から言えば左うちわで試合を観戦していてもおかしくないバイエルンのGKノイアーのほうが何度か体を張ったセーブを見せていた。決定機の数ではボールを持っていないはずのホームチームが上回った試合だった。

 バイエルンの攻撃で怖さを感じたのは、パス回しではなく、むしろ直接ゴールへ向かっていったものだった。この試合を通して、グアルディオラがバイエルンに移植したと言われるパスサッカーは、本家バルセロナの絶頂期を知るスペインの人々にとっては1段も2段もスピードと迫力を欠いたものでしかなかった。本家に何度となく苦汁を飲まされてきたレアル・マドリードにとっては、そのレベルに到達していないパスサッカーに対処するのは簡単なことだったに違いない。

 迫力のないパスサッカー。そのことをバイエルンの名誉会長であるベッケンバウアーは誰よりも感じていたようだ。「ボールポゼッションで上回っていても、相手にチャンスを多く作られては意味がない。前半、マドリードが1点しか決めなかったことに満足すべきだ」と、解説を行なっていたテレビ局のハーフタイム中、チームの戦い方を痛烈に批判した。

 1対0、しかもホームで無失点と若干のアドバンテージを握ったレアル・マドリードだが、第2戦(4月29日)も有利に試合を運べるかと言えばそうは問屋が卸さない。この試合ではコンディションが万全でなかったクリスティアーノ・ロナウド、ベイルが間違いなく復調してくるだろうが、バイエルンと違ってタイトル争いを続けるリーグの戦いがあり、疲労の蓄積が気になるところだ。

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