日本人ブンデス最多得点タイ。岡崎慎司が語る「運と自信」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 だが、今は明らかに違う。本人もそれは自覚している。

「やっぱり(得点が)二桁いってるという余裕は大きいですね。ここからはひとつひとつ積み重ねるだけかな、と。それまでは何となく自信がないというか、『とれてねーな』という感じだったけど、今は『まあ取れてるから』という感じですね」

 結局、自信の源は結果だということが伝わる。悩んでいた時期と変わらず、その言葉は実に素直。決して嫌みがないのは岡崎の持ち味だろうか。

 それでも今季を振り返れば波はあった。最初の低迷は開幕戦(8月11日)から第10節(10月26日)までの間だ。古巣シュツットガルトとの開幕戦は「眠れないほど緊張した」と後に明かしているが、それでも1ゴー ルを叩き出した。移籍先での幸先の良いスタートかと思いきや、2ゴール目をあげるのに第10節のブラウンシュバイク戦までかかってしまう。

 2度目の波は9ゴール目から10ゴール目までの間。後半開幕のシュツットガルト戦(1月25日)で9ゴール目を挙げるが、10ゴール目は第25節ホッフェンハイム戦(3月15日)で、実に6試合音なし。「プレッシャーがあるのかな」と、本人も苦笑いするしかなかった。だが、そのホッフェンハイム戦では2ゴールをあげ「ほっとした」と明かしていた。

 11ゴール目からこのドルトムント戦の2ゴールまで、また5試合があいた。だが岡崎自身が不調だったわけではなく、「焦りはない」と繰り返し語っていた。

 実は岡崎にとってドルトムントのホーム、ジグナルイドゥナパークでの先発は初めてのことだった。ブンデスで最大の集客数を誇り、傾斜角の急なゴール裏の客席をピッチから見るとまるで壁のよう。他とは違う圧力を感じると言われる。そんなドイツを代表する名物スタジアムでの試合、心境もこれまでと違っていたという。

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