無冠濃厚でサポーターから罵声。普通のチームになったバルセロナ (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 地元紙SPORTは"この時代は終わり。早く次の時代が来ますように"というタイトルを打ち、Mundo Deportivoも「大打撃」「決断の時」と、バルセロナの黄金時代が終焉を迎えたことを認める見出しで報じた。

 さらにSPORTのアンケートでは、サポーターの不信感が選手だけでなくクラブ首脳にも向けられていることが明らかになった。「バルトメウ会長、スビサレータGMで今のチームを立て直すことができるか」という問いに、93%が否定的に答える。そしてリーガで優勝できるかという問いには90%がノーと答えるなど、悲観的な性格を持つと言われるカタルーニャの人々らしい諦めの良さがしっかりと出た結果になった。

 すでにメディアは黄金時代に戻るための選手補強についての話を始めているが、FIFAの補強禁止処分の裁定(※)が現時点では覆(くつがえ)ってはいない。DFプジョル、GKビクトル・バルデスといったバルセロナの象徴的選手の退団が決定しているほか、契約年数から売り時であるSBダニエウ・アウベス、MFマスチェラーノやFWアレクシス・サンチェスには欧州の強豪からのラブコールが届いている。今オフ、バルセロナは改善するどころか、欧州を席巻したチームの根幹が崩れる可能性も十分にあり、見通しは決して明るくない。

※18歳未満の国際移籍を原則的に禁止する規定に違反したとして、バルセロナは罰金と1シーズン補強禁止の処分を受けている。

 バルセロナの時代は終わったのだろうか。

 ライバルであるレアル・マドリードの監督アンチェロッティは「彼らの時代は終わっていない。最後まで戦い続けるだろう」と語っている。おそらくアンチェロッティの言う通り、何かが終わったとするのであれば、異常なほどに勝ち続けた無敵の時代が終わっただけなのであり、リーガやCLのタイトルを狙う優勝候補のひとつという地位から外れたわけではない。

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