酒井高徳「悔いを残したままW杯メンバー発表を迎えたくない」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

「今季の自分のパフォーマンスは、波があるのかな、という感じです。その中でも悪い流れが多かったと思う。特に去年から今年にかけて、それをすごく感じた。チームの不調はあると思いますが、自分のプレイをできる選手はそういうことに左右されず、しっかりやっている。その辺はやっぱり見習いたいですよね」

 笑顔を交えて答えるが、歯切れの悪さから、自分のプレイに納得していないことがありありと伝わってくる。

「自分の個人的なパフォーマンスのことを言わせてもらうと、得意というか、売りにしている攻撃の部分もいまいちだと思う。守備でも一瞬の判断に迷いがあって、今シーズンは集中力が欠けているのかな、と。もちろん集中はしているつもりなんですけど、軽率なミスが非常に多いのかな、という気がします。もちろん毎試合、研究というか反省をしながらやっているのですが......」

 酒井にとって、今季は大きな環境の変化があった。岡崎慎司の移籍によってチームの日本人選手は一人になった。すでに3季目ということもあり、日本人スタッフはついていない。チームの中で特別な待遇はなくなり、ドイツ人選手と変わらない環境に身を置くことになったのだ。

「もちろんドイツ語で話す機会が多くなり、選手とのコミュニケーションも向上して、チームにいても問題なく意思疎通ができるし、そういう意味では成長したと思う。だけど自分の良さを出すという意味では、まだ出せてないのかな、と思います。降格争いをしているチームの中で、誰かが自分勝手なプレイをする時もある。そういうところはカバーしてあげたいと思っているから、バランスを見たり、チームのために動いているというところはあるんですけどね」

 新任のステフェンス監督からは、攻撃的な動きも求められていると言う。

「一度ちょっと監督に呼ばれて『お前が良いプレイができるのは知ってる』と言われたんです。で、『こんな会話は普段ならしないんだけど』と言ってくれた。やっぱり(プレイの)標準値をいかに高くするかがこれから大事になってくるんだな、と思いました。そこをいかに自分で高めていけるかが問題だと思っています」

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