ミラン復活の兆しが本田圭佑に変化をもたらした (2ページ目)

  • ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari
  • 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 また、土曜日(3月29日)のキエーボ戦では見事なアシストをしてカカにゴールを決めさせた。カカが相手ゴール前でフリーになったところへ、すかさずパーフェクトなボールを送りこみ、勝利を確実とする2点目の原動力となったのだ。こうなってくると欲が出てきて、早く本田のリーグ初ゴールが見たくなってくるが、フィレンツェでもサン・シーロでも本田自身のゴールチャンスはまだ少なかった。

 それでもとにかく、今回のアシストは本田がセードルフ率いるミランのシステムの中に溶け込みつつ、チームメイトからも信頼されていることを示している。フィオレンティーナ戦のあとの本田が、それまでより笑顔を見せることが多くなったことを、ミラネッロのスタッフもチームメイトも、そしてテレビカメラも気がついていた。これまでよりずっとくつろいだ表情をしている。キエーボ戦のあとの休日は、久々にリラックスした気分で、本格的に訪れ始めたイタリアの春を楽しむことができたのではないだろうか。

 さてこんな明るい空気の中、ミランのユニホームを着た本田の初めてのパニーニのステッカーがイタリアで発売された。パニーニとは毎年発売されているサッカー選手の顔写真のステッカーで、専用のアルバムの台紙に別売りのステッカーを貼り(ステッカーは数枚単位で袋に入って売られ、中は見えない)、各チームのページを完成させるというものだ。完成するとその年の選手名鑑ともなる。

 イタリアでは今から半世紀以上前の1961年から発売されていて、毎年このアルバムをコンプリートさせることに、多くのサッカー少年や元少年たちが心を熱くしている。イタリア男ならば誰もが一度ははまったことがあるのではないだろうか? ステッカーは12月から3月まで、そのシーズンのものが発売され、4月には冬のメルカート(移籍市場)を受けて新しい選手のステッカーが追加発売される。ミランの場合は今回、本田と共にセードルフ監督、ラミ、ボネーラ、ターラブトのステッカーが新たに作られた。

 このステッカーに本田が登場したことは、あらためて彼がミランの正式な一員、イタリアサッカー界の一員になったことを象徴している。少年たちにも本田のステッカーが出たことを、ぜひとも喜んでもらいたいものだ。


オフィシャル誌編集長のミラン便り>

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