香川真司も歯が立たず。シティとユナイテッドに切ないほどの差 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 後半に入ると、ユナイテッドは右のクレバリーに替えて香川真司を投入した。香川がここまで状況を変えることを期待されて途中交代で入ったのは、モイーズが監督に就任してから初めてのことだ。

 だが、その香川も全く歯が立たない。もう一度ギアを入れてきたシティは、ナスリ、シルバの圧倒的なスピードと技術、そしてボランチの安定感と攻撃に厚みを出す動きにより、ユナイテッドを圧倒する。56分にはまたしてもジェコが右足のシュートで2点目を決める。マークについていたはずのDFファーディナンドは最終的に引き離され、ジェコはフリーの状態でシュートを放っている。

 このあとモイーズは66分にはバレンシア、その10分後にはエルナンデスと前線の選手を投入し、ルーニーをボランチに下げた。2列目の中央にマタを置き、左右に香川とバレンシアを配す。これによって先週末のウェストハム戦のようにある程度ボールをつなぐことを想定したのだろうが、シティの圧倒的なプレッシャーの速さにボールはつながらない。

 互いの特徴をつかみきれていないのか、決めごとがないのか。例えば香川が左サイドでSBエブラにパスを出したあとも、近距離でもう一度パスを受けるのか、ゴール前へ走るのかがはっきりせず、結局そのままエブラと後ろ向きに並走し、攻撃はスピードアップしないままで終わってしまうようなシーンが見られた。攻撃のスピードが上がらないため、サイドからクロスを放り込んでも、中央に相手DFが揃っているので跳ね返される。その繰り返しに終始した。

 試合終了間際には、この夏日本代表が最も警戒すべき選手のひとり、コートジボワール代表ヤヤ・トゥーレがだめ押し点を押し込んで、試合は3-0で終わった。

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