大波乱のクラシコで表出したレアルとバルサの課題とは? (2ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko photo by Rafa Huerta

 この試合、前半の得点のほかに、後半2本のPKを沈めたメッシは、宿敵のホームであるサンティアゴ・ベルナベウでハットトリックを決めたバルセロナ史上初の選手となった。同時に、ウーゴ・サンチェスがそれまで手にしていたリーグ戦における通算得点ランキング第2位のポジションを26歳の若さで奪った。レアル・マドリードの伝説的選手であるサンチェスの記録をベルナベウで破るメッシを前に、8万5千人の観客は沈黙で応えた。

レアル・マドリード有利の下馬評をくつがえし、クラシコはバルセロナが勝利。メッシはハットトリックレアル・マドリード有利の下馬評をくつがえし、クラシコはバルセロナが勝利。メッシはハットトリック その一方で、試合後の喧噪は続いている。「リーグ争いが白紙に戻った」と話したマルティノ監督は、この試合のジャッジについて「ネイマールに犯したラモスのファウルだけは、(レッドであることが)はっきりとしている」と明言。

 だが、そうは思わないのは、レッドカードを受けたセルヒオ・ラモス本人だ。「あまりにも厚顔無恥な行為だ。もう二度と今日の主審には笛を吹いて欲しくない。(この発言を)書き留めるなら、書き留めればいい。僕らに(純粋に)タイトル争いをさせて欲しい。(ジャッジは)あらかじめ、考えられていたものだ」と試合後に主審を厳しく糾弾。

 それに同調したのは、クリスティアーノ・ロナウドだった。「主審は十分なレベルに達していない。ナーバスになっていて(顔色が)真っ白だった。あんな状態でどっちに対しても正しい判断ができるのか......。この試合を僕らに勝って欲しくない人達がたくさんいた。バルサが負ければリーグ戦はおしまいだからね。もう5年間マドリードでプレーしているんだ。勝負はピッチでのプレーだけじゃないことは、わかっているさ。僕が来てから、レアルが好意的にジャッジしてもらったことなど一度もない。毎年同じことの繰り返しだ」と主張した。

 最近、ジャッジを公に非難することで処罰を受けることも多いが、審判の判断が、選手の日々の努力を一瞬で無にしてしまうこともある。言わずにはいられないという苛立ちがミックスゾーンから、ありありと伝わってきた。

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