マンUに吹く嵐。香川真司にとっても重要な一戦が始まる (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

「モイーズとギグスが衝突している」と伝えたのはデイリー・ミラー紙だ。ライアン・ギグスは今季から選手兼コーチとして、出場がない試合でもベンチに座っている。実際に試合中のベンチを見ていると、ギグスが指揮しているように見えることもあるほどで、不仲説が出てもおかしくない。記事は「ギグスはモイーズの練習内容に不満がある、と言われている」と、あくまで伝聞の形をとっているが、果たしてどうなのだろうか。

 そしてついに「今後の3試合で勝てなければモイーズ監督は解任」と伝えたのはサン紙(電子版)。記事によれば、マンU幹部はモイーズ監督の手腕を疑問視しており、19日のオリンピアコス戦、22日のウェストハム戦、25日のマンチェスター・シティ戦に勝てなければ監督解任の見通しだという。そしてその後の暫定監督にはギグスが就く可能性があるとしている。

 香川真司も一連のマンU報道のとばっちりを受けている。リバプール戦では出場機会のなかった香川だが、翌日には25歳の誕生日を迎えている。友人に祝ってもらったという写真を自身のインスタグラム(SNS)で公開しているのだが、これを見つけたデイリー・メイル紙は「奇妙な写真が......」。まるで香川にチーム内には友達がいないことを誇張するかのような、意地の悪い記事に仕立てたのだ。

 オリンピアコス戦のファーストレグは0-2で敗れている。最低でも2点以上をとって勝利を収めない限り、マンUのCLはこれで終わる。来季の出場権獲得(リーグ戦4位以内)もきわめて難しくなっており、そうなればマンUは欧州最高の舞台から長期間にわたって離脱することになる。モイーズ解任の声もさらに高まるはずだ。また、リーグ戦よりCLのほうが出場の可能性が高いと言われる香川にとって、CL敗退は、チャンスがさらに減ることを意味する。

 だが、この逆境の中でもし勝利を収めれば、チームへの印象は大きく変わる。それは香川にもあてはまる。心中、期するものがあるはずだ。マンUにとっても香川にとっても、最も重要な一戦が間もなく始まる。

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