イタリア人記者が分析。
地に堕ちた本田圭佑の評判は今後どうなる?

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 だが、今の本田にそれだけの実力は残念ながらない。したがって答えはひとつ。前述の通りポジションを中盤に下げ、あくまでも駒のひとつとしての役割を受け入れるしかない。そしてそこから、ひとつひとつ実績を積み上げていけばいい。

 もっとも、その中盤にしても当然のことながら競争は激しい。ミランの布陣が4−2−3−1である以上、MFの枠はわずかに「2」。ここを現有メンバーでは7人(モントリーボ、デ・ヨング、エッシエン、ムンタリ、ポーリ、クリスタンテ、そして本田)で争わなければならない。

 本田の理想のポジションは4−3−2−1の「2」の右、または4-3-1-2の「1」なのだろうが、現状では、セードルフに戦術変更の意図は一切ない。のみならず、今後もその形が変わることはないと見るべきである。なぜなら、この4−2−3−1は、オーナー(ベルルスコーニ)の意向であり、監督に対する絶対的な指示であるからだ。

 なお、来季からセードルフは自らの配下にポジション毎の専門スタッフを置くことになる。その人選は、エルナン・クレスポ(助監督)、ヤープ・スタム(DF担当)、エドガー・ダービッツ(MF担当)、パトリック・クライファート(FW担当)でほぼ確定している。

 現時点で確かなのは、いわゆる“オランダ色”が濃厚になるということに限られる。果たしてどのようなチームを作ろうとするのか、果たしてこのクラブ“改革”は有益なのか。最も肝心な部分は、まだ不明である。

 したがって、現時点での本田は、目の前にある壁と正面から向き合い、それを越えるべく努める以外に道はない。単に巧いだけでは生き残れないという極めて当たり前の現実を直視し、何より、常に言われるように「基本に立ち返る」べきではないか。
 
 出場した7試合(イタリア杯の1試合は、相手がセリエB下位のスペツィアであったためカウントしない)を見る限り、本田は周囲を納得させるだけのプレーを見せることができていない。

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