お粗末マンU。6戦ぶり出場の香川真司、切実な思いを語る (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 一方のオリンピアコスはボールを奪うとカウンターで一気に攻める。ヴィディッ チ、ファーディナンドというマンUのCBは対人の強さこそあるが、スピードとテクニックについていくことができない。前半38分に1失点。ハーフタイムに士気を上げることもできず、後半に入って10分にもう1失点。負けるべくして負けた。
 
 モイーズ監督は言う。

「我々のプレイは最低だった。今日の我々は何にも値しない。こんなレベルのパフォーマンスを見たことがなく、私はとても驚いている。私は責任を負うし、我々はもっと良いプレイをしなくてはならない」

 試合前にオリンピアコスのミチェル監督は「マンUは不調自体が精神的に大きな負担になるだろう」という話をしていたが、それも一つの要因だろう。だが、チームに核となるべき戦術がもたらされていないことが最も大きな問題に見える。下馬評ではこの一戦、不調のマンUにとってラッキーな組み合わせとされていた。事実、他の試合に比べれば比較的楽な相手だったはずだが、完敗を喫した。

 この日、香川真司は公式戦6試合ぶりに出場した。2点をリードされた後半15分にピッチに立つが、ファーストタッチまでおよそ10分かかる。味方とのタイミングが合わず、 足下でボールを欲しくても裏に蹴られたり、動き出しに気づいてもらえなかったり。しびれを切らした香川は自ら中盤におり、ボールを触ることでチームと自分にリズムをもたらそうと試みた。
 
「リズムを作らなきゃいけないと思っていた。得点を決める選手はたくさんいるけど、その得点をとる過程として、なかなかそこまでいけてなかったから。その中で良いリズムを取り戻したいなという思いで入りましたけど、想像以上に難しかった。なかなかボールが来なかったというか、パスもロングボールが多かったので。もっと(ボールを)受けられた場面はたくさんあったし......。ただ、終わったことなので何も言えないですけど」

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