ますます高まってきたバイエルンCL連覇の可能性 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 決勝トーナメントは決勝戦を除き、ホーム&アウェーの180分間の戦いで行なわれる。サッカーに運が絡む確率は3割と言われるが、少なくとも90分で行なわれるW杯本大会より、はるかに実力が結果に反映されやすい設定になっている。アウェーゴールのマジックがあるとはいえ、だ。

 5シーズンで3度優勝したことがあるレアル・マドリードも、過去8シーズンで3回優勝(ベスト4が4回)しているバルサも2連覇はない。現行のチャンピオンズリーグになってから、決勝に前シーズンの覇者が進んだケースは4度。ミラン(94~95)、アヤックス(95~96)、ユベントス(96~97)、マンチェスター・ユナイテッド(08~09)。アヤックスはPK戦で2連覇を阻まれるという際どい敗れ方だったが、ディフェンディングチャンピオンが4戦全敗中だという事実は、そこに見えざる力が介在していることを想像させる。サッカーゲームの特殊性を垣間見る気がする。

 ディフェンディングチャンピオンは、受けて立つ傾向がある。サッカーは攻撃的でも、精神的に受け身に回ると攻撃性は鈍る。慎重になる。欲。これがサッカーには大敵なのだ。前評判、ブックメーカーの予想は、低いにこしたことはない。

 バイエルンは、これからどのチームと対戦しても「あなたの方が有利だ」と、ブックメーカーに予想されるだろう。それでも大丈夫なのか。欲とどう折り合いをつけるか。

 バイエルンは2シーズン連続で決勝に駒を進め、準優勝(11~12)と優勝(12~13)を経験している。ちなみに、今シーズン決勝に進めれば3シーズン連続になる。過去24年で、この偉業を達成しているのは、ユベントス(95~96から3季)のみ。すでにチャンピオンズリーグ史に名前を刻むチームになっている。にもかかわらず、その最中に監督をハインケスからグアルディオラに代えた。過去、2連覇を狙ったチームにこうした例は数少ない。前述の4チームはすべて同じ監督で2連覇に挑んでいる。

 しかも迎えた監督がグアルディオラだ。従来とは少しばかり変わった哲学の持ち主だ。スタメンはずいぶん入れ替わった。全体としてパワーアップした印象を受ける。受け身になる要素は、従来のディフェンディングチャンピオンより遙かに少ないように見える。

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