ミラン番記者が語る「本田圭佑が活躍できる根拠」 (4ページ目)

  • 宮崎隆司●取材・文 text by Miyazaki Takashi
  • photo by Getty Images

 つまり、本田を待ち受ける環境はほとんど理想的とさえ言える。さらに、これまでに築いた歴史から「名門」とされるミランだが、ここ数年は財政難ゆえの大物放出もあり、その名に恥じぬ成績を収めているとは言い難い。むしろ、今季これまでの成績(第17節終了時13位)が示すように、およそ中堅レベルというところにまで落ち込んでしまっている。

 これが意味するところは、今季後半のミランはその戦略、つまりチームづくりの主眼をすでに来季を見越したものへシフトしているということだ(もちろん来季のCL出場権獲得=リーグ3位以内確保は目指しているが)。したがって、クラブにも、本田自身にも過度な重圧がかかることはない。事実、クラブ首脳も1月以降シーズン終了までを「本田がイタリアのサッカーに慣れるための期間」として捉えている。

 よって真の意味での戦いが始まるのは、W杯を経て迎える来季2014-15シーズンからだ。監督はアッレグリからセードルフに代わる可能性が高い。もちろん、そこから先は本格的な「名門復活」へのプロセスが始まるため、過度なプレッシャーと日々対峙することになるはずだ。

 そして、本田がイタリアの水に慣れてくるはずのシーズン終盤の5月4日の第36節には、長友佑都がいるインテルとのミラノ・ダービーが控えている。日本代表のブラジルW杯での躍進、その鍵を握るふたりが同じミラノの街でしのぎを削る。これ以上に楽しみな戦いは他にない。

 ダービーと言えばもうひとつ、「コッパ・イタリア(イタリア杯)」の準々決勝で早くも本田VS長友が実現する可能性もある。ミランが次のスペツィア戦に勝ち、インテルがウディネーゼを破れば、両者は来る1月22日に対戦することになる。

 直近のリーグ戦で最も注目すべきはミランホームのユベントス戦(3月2日第26節)。それ以前にも、本田とバロテッリのどちらがFKを蹴るのかなど、楽しみは尽きない。一部には「ミランの10番・本田」に懐疑的な見方もあるが、あの巨大なサン・シーロのスタジアムで、8万超の観衆を前にその真価を存分に発揮して、そうした目で見る者たちを沈黙させてもらいたいものである。

■セリエA ミランと上位クラブの対戦スケジュール
2月9日(第23節) ナポリVSミラン
3月2日(第26節) ミランVSユベントス
3月23日(第29節) ラツィオVSミラン
3月26日(第30節) フィオレンティーナVSミラン
4月27日(第35節) ローマVSミラン
5月4日(第36節) ミランVSインテル

AC MILAN 2013-14 予想フォーメーション:4-3-2-1
FW:45バロテッリ
TQ:22カカ、10本田
MF:18モントリーボ、34デ・ヨング、4ムンタリ
DF:28エマヌエルソン(21コンスタン)、17ザパタ、25ボネーラ(5メクセス)、2デ・シッリョ(20アバーテ)
GK:32アッビアーティ
監督:マッシミリアーノ・アッレグリ

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