王者スペイン、2位NGの厳しいグループリーグ事情 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by GettyImages

 とはいえW杯2連覇を目指すスペインにとっては、どの相手も最終的には倒さなければならないことは間違いない。「抽選が始まる前に、オランダと第1戦を戦うことになるんじゃないかと話をしていた。自分たちのグループも決して簡単なグループではないが、他にもっと厳しいグループがある」と、監督のデル・ボスケはカシージャスとは違い、難しいグループに入ったことを冷静に受けとめていた。対戦相手に関しては幸運でもなく不運でもないという意見も多い。

 だが、意見として共通してあがっていることが一つだけある。それは母国開催のアドバンテージを持つブラジルとベスト16での対戦を避けるためには、グループリーグ1位突破が絶対条件だということだ。

 その理由はもちろん、6月に行なわれたコンフェデレーションズカップ決勝での惨敗にある。これまでスペインに多くのタイトルをもたらしてきたパスサッカーが、ブラジルの激しいプレスサッカーの前に封じられたという負のイメージは、未だ国内には強く残っている。ブラジルとの対戦は決勝まで避けたいというのは国民の統一見解だ。

 さらに2位で突破した場合、たとえブラジルを破っても準決勝で優勝候補の一角であるドイツと当たる可能性が高く、厳しい道のりになると考えられている。逆に1位突破を決めれば、準決勝まで優勝候補と呼ばれるチームと当たらないことから、1位突破が優勝への近道と言われている。

 もちろんスペインには、オランダ、チリ、オーストラリアとの対戦を疎かにする考えはない。1試合ずつ全力を尽くすことが大前提にあるが、試合ごとに一喜一憂するのではなく、いかにグループリーグ1位突破を決められるかどうかが最大の関心事なのだ。

 無敵艦隊の言葉通りに、国際大会3連覇(W杯とEUROに2回優勝)を達成したスペインだが、年齢的にも世代交代の時が近づいているのは事実。ブラジルW杯が「優勝の本命」と言われる最後の大会になるとも言われている。果たしてスペインはグループリーグ1位突破を決められるか。黄金時代を築いたスペイン代表が前人未到の国際大会4連覇を達成できるかどうかの大きな分岐点になる。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る