W杯グループリーグ、番狂わせを起こす可能性がある4ヵ国 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by GettyImages

 スペイン、オランダ、そしてチリ。源流はいずれもクライフサッカーだ。その中で、サッカー的にいま最も冴えているのがチリ。3番人気ではあるけれど、チリはそうした意味でも面白い存在だ。このB組は、同型同士の撃ち合い必至。そしてもしチリが2位に食い込めば、次なる相手はほぼ100%、ブラジルだ。前回は、前にも述べたように不運も手伝い0対3で完敗したが、先月トロントで行なわれた親善試合では1点差の接戦(1対2の敗戦)を演じている。

 チリの行く先に好ゲームあり。僕はそう見ている。

 南米予選4位のエクアドルは、恵まれた組(E組)に入った。ブックメーカーの格付けによれば、フランス、スイスに次ぐ3番手。しかし、その差はわずかだ。B組のチリと同じような存在に見られている。番狂わせの可能性大と予想されている。フランスには一時ほどの強さがない。スイスもFIFAランキングこそ高いが、大舞台での実績はない。絶対的な存在ではない。初戦の相手はそのスイス。グループ2位候補を倒すことができれば、突破は7割方堅くなる。

 G組のアメリカも面白い存在だ。この組はドイツ、ポルトガルで決まりと見られているが、2番手候補と見られるポルトガルに安定感がないのは事実。ユーロ2004以降では、今回が最もチーム力が落ちている。クリスティアーノ・ロナウド頼みのサッカーになっている。

 片や一方のアメリカは、史上最強の呼び声が高い。感じとしてはリトル・ドイツ。ドイツ同様、統制されたサッカーをする。そして何といっても魂、アメリカンスピリットがある。最後まで諦めない頑張りはドイツ以上。ドイツのゲルマン魂は、サッカーが上手になった分だけ衰退したが、アメリカの魂には衰えがない。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る