W杯グループリーグ、番狂わせを起こす可能性がある4ヵ国 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by GettyImages

 思い出すのは前回大会、プレトリアで行なわれた決勝トーナメント1回戦。スペイン対チリの一戦だ。ビエルサ監督率いるチリは、敗因は不運のひと言で片付けたくなるほど、競った内容の惜しい試合をした。チリはその結果、グループリーグを2位で通過。決勝トーナメント1回戦を、中2日でブラジルと対戦するハメになった。結果は0対3。この試合のチリには出場停止選手も数多くいた。

 サッカーそのものは攻撃的で、見ていてとても面白かった。スペイン以上に、と言いたくなるほどだった。一方、チリに辛勝したスペインは、決勝トーナメントの階段を最後まで登り切り優勝。チリ戦のラッキーが、その後の戦いに弾みを付けた恰好だった。

 そのチリとスペインが今回も同じ組になった。それに前回大会の決勝でスペインに惜敗したオランダを加えた3ヵ国の対戦は見どころ満載。死の組と言われるD組(イタリア、ウルグアイ、イングランド、コスタリカ)以上に、好ゲームが繰り広げられそうな気がする。

 実際、チリは前回以上にパワーアップしている。アレクシス・サンチェス(バルセロナ)をはじめ知名度の高い選手が急増。サッカーも、ビエルサ時代からの攻撃的な路線を貫いている。前線からプレスを掛けにいく勤勉さと娯楽性が融合した、スリリングなサッカーをする。

 監督はホルヘ・サンパオリ。彼がその座に就いたのはおよそ1年前になるが、それ以前のチリは、南米予選で大苦戦を強いられていた。本大会出場が大いに危ぶまれたが、監督交代を機にV字回復。ビエルサ型(バルサ型、アヤックス型)3-4-3の布陣をベースに、強敵コロンビアにアウェーで3対3の試合を演じるなど、最後の5試合は4勝1分けの成績を収め、アルゼンチン、コロンビアに次ぐ3位に食い込んだ。

 スペインとの親善試合も、アウェー戦ながら2対2の引き分け。同点ゴールを許したのはロスタイム。試合内容ではスペインを上回っていた。

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