試合後に手当て。シャルケ内田篤人、満身創痍のCLベスト16進出 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 極めつけはシャルケの2点目のシーンだ。57分、シャルケはペナルティエリア手前やや右の位置でフリーキックを得る。ペナルティマークの手前に壁を作ったバーゼルは、シャルケのキッカー、ファルファンが蹴るのと同時にラインを上げた。ボールが渡ったシャルケのDFマティプはオフサイドポジションだったため、アクションが一旦停止する。だが、オフサイドの旗は上がらず、GKと1対1と絶好のチャンスになったマティプはためらいながらシュート。これが決まり、2-0となった。抗議も受け入れられず、バーゼルは一気に意気消沈。試合の行方がこのシーンで決まってしまった。

 試合後、シャルケのケラー監督も、「判定には少し驚いた」と認めている。

 明らかに運に助けられて、シャルケは16強への切符を手にした。もちろんその意義は大きい。まず、クラブには35万ユーロ(約4500万円)が転がり込むこと。CLのグループリーグ敗退か突破かでは、後半戦の強化方針にも大きな影響が出る。

 もうひとつはケラー監督のクビがつながったことだ。今季のシャルケはここまでブンデスで6位とふるわない。来季のCL出場権獲得圏内の4位には順位を上げたいところだが、第15節終了時で4位ボルシアMGとの勝ち点差は7と、少々水をあけられ始めている。また、先週はドイツ杯で、ブンデス11位のホッフェンハイムに、16強での敗退が決まった。国内の2タイトルのうち一つは早くも失われた。

 当然ながらメディアをにぎわせたのはケラー監督の退任論だ。CLのグループリーグで敗退するようなことがあればシャルケは監督を解任するだろうし、ビルト紙は、クラブ幹部が元ブレーメン監督のトーマス・シャーフをリストアップして接触していると報じていた。

 結果が出た以上、ケラーの続投は堅くなった。だが、ケラー続投が吉と出るか凶と出るかは、一種の賭けでもある。毎年シーズン半ばに監督解任を繰り返してきたシャルケだけに、それを避けるのは悪いことではないが、果たしてケラーのもとで浮上できるのかどうか、見極める必要もあるだろう。

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