勝てないマンU。香川真司には、明らかに苦手な対戦相手が存在する (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by GettyImages

 この試合、戦いぶりは対照的だった。荒々しいまでの激しいプレッシャーと、前線のルカクのパワーとスピードを生かした、はっきりとしたカウンターサッカーを仕掛けるエバートン。一方のユナイテッドは中からも外からも攻めきれない。ウェルベックとバレンシアという両サイドアタッカーのスピードを生かすべく、長いボールを左右に蹴ってクロスを入れるというわけでもない。ボランチのギグスから前線へ好配球はあるが、ゴール前に人数をかけきれない。

 トップ下で先発した香川真司もCLで見せた鮮やかさはどこへやら。中盤から高い位置で多くボールに触り、チームの攻撃のリズムを作りチャンスをお膳立てするという、このところマンUでも見せるようになっていた香川らしさは消えていた。

 この日はとにかくエバートンの中盤の寄せの速さと距離感に苦しんだ印象だ。中盤へ下りていきボールを触るシーンも見られたが、リズムを作るというよりもマークから逃れるためのようにも見えた。

 それでも数度はチャンスに絡んだ。前半22分にはゴール前でこぼれ球に反応し、左足でシュート。これは至近距離にいたGKに阻まれた。前半43分にはゴールライン際から低くて速いクロスをゴール前に入れる。だが、これはニアでウェルベックが触れず、中央のルーニーのまたをくぐり抜けて相手ディフェンダーへ。前半最大のチャンスだったが、得点には結びつかなかった。

 0-0で折り返した後半、攻撃を活性化させたいモイーズ監督は香川をナニに、DFラファエルをヤヌザイに交代させた。後半13分という早い時間帯での判断だったが、そのまま両者無得点の時間が続いた。そして試合終了間際の後半41分、ルカクの強烈なシュートが左サイドにそれたところをMFオビエドが追いつき、ニアをついてゴール。勝負がついた。

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