けっこうヤバイ?本田圭佑が移籍するミランの実情 (4ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 したがって、本田が、こうした状況下にあるクラブへ身を投じる意味を正しく見極めておく必要がある。繰り返し述べているように、本田は不確定要素に満ちた新体制のミランに入団する事になる。そのうえで、最後に肝心要の「技術的」な側面に関して想定すれば、以下の2通りとなる。

(1)アッレグリ続投 ※CL決勝T進出。リーグでの順位挽回に成功した場合
基本布陣は現状と同じ「4−3−3」。アッレグリが本田に求める役割は、前線3枚の一角。故障から復帰してくるエル・シャラウィをCL要員とし、本田は国内リーグ、およびコッパ・イタリアで起用されることになる。

(2)セードルフ就任 ※CLグループリーグで敗退。リーグでの順位挽回に失敗した場合
来季に向けたチームづくりが始まる。年末年始のミニ合宿をドバイでスタートさせ、ここで大幅な戦術の変更が図られる。"ベルルスコーニのお気に入り"であるセードルフは、オーナーの意向に沿う形で「4−3−1−2」、または「4−2−3−1」へ布陣を変える。この場合、前者において本田は「3」の一角または「1」を担い、後者であれば、日本代表と同じように「3」の一角を占めることになる。

 本田にとってはセードルフ体制がより適しているといえる。"より攻撃的"でテクニックに長けた選手の重用が予想されるからだ。それだけでなく、来季2014-15シーズンへ向けたチームづくりの過程で、過度な重圧が掛からない状況で新たな環境に慣れることができることは、本田にとってはプラスだろう。

 そして、セードルフ指揮下で予想されるもうひとつの重要な点は、この新監督候補とカカが厚い信頼関係で結ばれているということだ。すなわち、チームの"柱(エース)"はあくまでもカカ。これを本田は正しく認識しておく必要がある。

 いずれにせよ、本田はこのような苦境ともいえる事態に陥ったミランに加入する。という表現は、後ろ向き過ぎると思われるかもしれないが、見方を変えれば、救世主となる可能性もある、またとない状況に本田は身を置くと捉えることもできるのだ。

 年があらたまって最初の一戦となるセリエA第18節(2014年1月6日)、「ミランvsアタランタ」。これが本田のデビュー戦となる。もちろん、舞台はサン・シーロ。サッカーの「スカラ座」である。

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