全試合出場中の酒井宏樹。「3強」との戦いで得たものは? (4ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei
  • photo by GettyImages

 ただ、ひとつ明るい材料があるとすれば、それは酒井がその差を体感できるようになったことだろう。わずか3年前にJ1デビューしたばかりの酒井は、J1制覇、クラブW杯4位、ブンデスリーガ移籍と、目覚ましい勢いでサッカーシーンを駆け抜けてきた。ブンデスリーガでプレイするなんて思いもしなかったし、ましてや今やUEFA欧州最優秀選手のリベリーなんて「ほど遠い存在」だと思っていた、という。

 しかし、酒井はバイエルンとのリーグ戦でリベリーに素晴らしい戦いを演じてみせた。それは酒井の記録した1対1の勝率(テレビ局のサイトなどで発表される)が、両チームを通じて最高だったことが何よりも物語っている。最高峰は思い描いていたほど遠い存在ではなかった。もちろん、近くだからこそ明確に見えた差もある。「なかなか全部抑えるのは難しかった」と、酒井はリベリーとのマッチアップを興奮気味に振り返った。埋めるべき差はその身で感じた。後は日々の練習から取り組んでいけばいい。

 チームはここ6試合、勝ちがない。ポジションを争うチェルンドロも帰ってきた。越えるべきハードルはたくさんある。後半戦で再び3強とあいまみえるまでに、酒井がどれほどの成長を見せているかが楽しみだ。

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