マルティノ監督がもたらした、バルセロナ改革の中身

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko photo by Rafa Huerta,Nakashima Daisuke

 最初は、「ネイマールとメッシの共存」がテーマだった。その後は「センターバックの補強問題」、次いで「バルサのパスサッカーが以前とは異なっているのではないか」「結果主義に走って、ダイレクトサッカーに近付いていないか」とプレイスタイルに疑問が呈され、さらに「メッシの二度の負傷」があり、その回復に時間がかかったことが危機的状況と言われることに拍車をかけた。

 今回のチャンピオンズリーグで、メッシが公式戦4試合ぶりにゴールをマークし、それも2ゴールを得点したことで、試合後の記者会見では「これでミニ・クライシス(小さな危機)は、いったん終結したと思っていいですか」との質問が飛んだ。

ホームでのクラシコにも勝利するなど、バルセロナはいまだ今季無敗ホームでのクラシコにも勝利するなど、バルセロナはいまだ今季無敗 果たして、ヘラルド・マルティノは、バルセロナに変化をもたらしているのか。

 最近になって、選手が口を揃えてコメントしていることがある。それは「以前のレベルには戻れないが、僕らのプレイ内容は悪くないどころか良いと思っている」ということだ。もちろん「まだ改良の余地はあるが」と付け加えることも忘れていない。

 現在、バルサが変遷期にあることに疑いはない。ペップ・グアルディオラ(現バイエルン監督)という世界のサッカーファンを魅了した強力な指導者を失い、その後、そのペップと共に時代を築いてきたティト・ビラノバがチームを引き継ぎ、ペップ以上の成績を出しながらも、病の治療に専念するために退任というドラマチックな幕引きがあった。

 選手は結果を出し続けていたものの、この1年間、内心穏やかとは言い難く、昨シーズンのビラノバ監督不在の最中、それまで問題を起こすことのなかった選手のピッチ外の態度がメディアで取り沙汰されることもあった。

 当時は「ティトのために」と口ぐちに話していた選手達も、実は、船頭を失い大きな不安を抱えていたことを最近になって明かしている。つまり、一度空中分解しかけて、どこに向かって行ったらいいのか行き先を見失った船の舵をとるべく、マルティノはバルセロナにやってきたのだ。

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