それでもドルトムントが香川真司を忘れない理由 (2ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei
  • photo by GettyImages

 そのナポリを相手に、ドルトムントはあらためてCLの厳しさを痛感することになった。アウェーに乗り込んだ第1節、ドルトムントはナポリに1-2で敗れている。負傷でDFが一時的にピッチを離れていた合間に失点すると、それに抗議したクロップ監督が退席処分を受け、さらに2試合のベンチ入り禁止処分を受けてしまった。ドルトムントの前途は多難に思えた。

 クロップ監督抜きでどう戦うのか? だが、そんな暗雲立ちこめる状況をドルトムントは自らの手で切り開いた。翌節、ホームでマルセイユに3-0で快勝すると、第3節はロンドンでアーセナルに競り勝ち、グループリーグ首位に躍り出たのである。

 ドルトムントが欧州でトップクラブとしての地位を確立していくためには、CLで安定して上位に進出することが必要になる。そのための資金投入をヴァツケCEOは惜しまないだろう。そして、その補強リストの中には、香川真司の名が含まれているという。

 ドルトムントが香川を買い戻すのではないか。10月の初旬にもそんな話題がイギリスの新聞紙面をにぎわせた。コメントの出所は明らかではないが、クロップ監督が香川の復帰を望んでいると発言したという関係者の証言も報じられた。

 真偽のほどは定かでないが、ドルトムント側が香川獲得を匂わせる理由はある。成長著しいドルトムントは、ビッグクラブからの選手引き抜きとも戦わなければならない。昨季はゲッツェをバイエルンに引きぬかれ、今季末で契約切れとなるFWレバンドフスキーの退団も確定路線だ。その他にも、MFギュンドガンや両CBフンメルス、スボティッチの移籍の噂は後を絶たない。そうした報道にドルトムント側が気を遣っているのは明らかだ。ドルトムントは引き抜きの噂を否定するだけでなく、移籍先で不遇をかこつかつてのスターへの愛情を語ることで、クラブが不穏な雰囲気に包まれないようにしている。

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