12年ぶりW杯出場のベルギー。ダークホースと呼ぶには強すぎる! (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by GettyImages

 ベルギーで思い出すのは2002年、 日韓共催W杯だ。日本と同じ組に配され、その第1戦で日本と対戦。結果は2対2だった。ベルギーが致命的なミスを重ねた結果だが、いまそのスコアをベルギー相手に望むことは難しいだろう。当時のベルギーのレベルと、現在のベルギーのレベルは、同じ国とは思えないほど差がある。

 ベルギーはその後、2006年ドイツ大会、2010年南ア大会では予選敗退。ユーロでもオランダと共催した2000年以降、予選敗退を繰り返している。クロアチアと比較すると、その低迷ぶりはいっそう明らかになる。

 しかしその関係はいま大きく逆転した。突如、何の前触れもなく、強くなった感じだ。徐々にという感じではない。この試合のクロアチアは、その引き立て役になってしまった。ベルギーはこの4年間で最も変身したチームであり、世界のサッカー界に最も衝撃を与えているチームである。欧州では4番以内。世界的にもベスト8に入ると思う。

 選手の素材も良ければ、サッカーも良い。監督采配も良い。

 選手で特質すべきは、この日2ゴールしたCFのルカクになる。現在、チェルシーからエバートンにレンタルされているコンゴ出身の20歳。この日の2ゴールは、彼の走力によって生まれた。クロアチアの守備陣を、192センチという長身のストライドでまさにぶっちぎってしまったのだ。ドログバ2世といわれるが、走力はそれ以上だ。

 そのルカクの下で構えるフェライニ(マンチェスター・ユナイテッド)は、さらにその上をいく長身選手だ。192センチの下に194センチが構えるビジュアルはまさに壮観。フェライニの自慢はキープ力で、長い足をまるでコンパスのように使う。

 さらにその下で構えるゼニト所属のMFヴィッツェルも効いている。資料によればこちらは183センチになっているが、存在感、スケールはそれ以上。クロアチアは、このヴィッツェルのところで止められていた。


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