日本人CL最多出場の内田篤人、「どうせシンジとかに抜かれるよ」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by GettyImages

 鹿島時代の同僚で、かつてバーゼルでプレイしていたパク・チュホ(現マインツ)から内田はバーゼルの情報を仕入れていた。だから「もっと圧倒されると思ってた」と言う。だが、主導権を握れないまでも、決定的なピンチにまで至らないことから、試合中、「これは勝ち点3を持って返らないともったいない」と、考え方が変わっていったと言う。

 バーゼルはロングボールとサイドを多用する。シャルケはそれに対応しながら、カウンターもしくはセットプレイでのワンチャンスを狙う、いわゆるアウェーでの戦い方を見せた。普段のリーグ戦を見る限り、失点が多く、CBに難のあるシャルケには難しそうな戦い方だが、この日はそれがぴたりとはまった。

 試合前に確認したのは「高い位置からのプレッシャーとコンパクトな守備」ということだったと内田は説明する。「当たり前のことなんだけど、当たり前をどれだけできるかにアウェーでの勝ち点3はかかっている」と、冷静だった。

 後半9分には、CKから始まった攻撃でドラクスラーがミドルシュートを叩き込んだ。「やっぱり決めるべきやつが決めると良いね」と、内田。ケラー 監督も「信じられないシュート」と称えるゴールだった。その後も試合はバーゼルペースで進んだが、結局、この1点が試合を決定づけた。「あとは我慢するだけだった」と何事もなかったかのように内田は振り返るが、一方で勝てたことには「ほっとした」と素直に明かした。決してスマートな試合でも、レベルの高い試合でもなかったが、それでも勝ち点3の価値はかわらない。

 内田自身はこれで欧州CL18試合目の出場となった。日本人歴代最多の試合数となるが「どうせそのうちシンジ(香川)とかに抜かれるよ」とあっさりしたもの。いつも通り、淡々と帰りのバスに乗り込んでいった。

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