強いインテルが戻ってきた?牽引する両翼、ジョナタンと長友佑都 (2ページ目)

  • 内海浩子●文 text by Uciuimi Hiroko
  • photo by Maurizio Borsari/AFLO

 だが、ふたを開けてみると、チームを勝利へと導いたのがこの両翼だった。得点をおぜん立てするどころか、ゴールまで決めている。上がっては積極的に1対1を仕掛け、懸念されていた守備面では戻りのタイミングも良くなり、走りでも空回りがなくなり有効性が高くなった。

 それはチームがきちんとオーガナイズされているからでもある。昨季と比べてチームとして最も改善された点は「コンパクトさ」とサネッティが言っていたが、監督の意図が選手たちへ明確に、そして確信をもって伝わっている証拠なのだろう。

 ユーベとの違いといえば、マッザーリのサッカーはコンテ(ユベントス監督)のそれと正反対に近い。自分たちがゲームを作ってイニシアチブを取り、DFラインも高いコンテに対し、マッザーリの守備ラインは低く、引いて守ってここぞという場面や時間帯に攻め入るのが真骨頂だ。

 ユベントス戦でもマッザーリのサッカーがはっきりと見てとれた。3DFの位置は低く全体が自陣に戻って守るため、中盤でゲームを作るピルロにはほぼフリーでボールを持たせていた。だがそこから上がってくる"爆撃機"のビダルとポグバにはマンマークでブロックをかけた。そして、チャンスと見ると一気に底上げし、FWパラシオ、アルバレスにMFとサイドがからんでシュートまで持っていく。バラバラだった昨季と違い、チームの動きとして意思統一されており、それゆえ個々がチームのために何をすべきかわかっているから選手の動きも判断も早い。

 選手の動きの良さを支えているのはコンディションの良さもある。それは欧州カップ戦がないからだけではないだろう。

 マッザーリが率いるチームは故障欠場者が少ない。まだシーズンが始まったばかりとはいえ、今のところ主力ではサネッティとキブが故障欠場中だが、共に原因は昨季の故障である。

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