CL初ゴールにも内田篤人、「何があっても一喜一憂しない」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 内田にとって、シャルケ在籍4年目で3度目のCL出場だ。CLは内田が最も楽しみにし、気合いを入れて臨む大会でもある。ただ、その楽しみ方もこれまでとは少し違ってきている、と言う。

「リーグとCLは違いますからね。あのアンセムを聞くと、この舞台に帰ってきたなと思う。CLに出れるチームというのは少ないから、そこにいられるのは幸せなこと。でも僕の中では、試合に出られるかということより、次のステップ、つまり勝たなきゃいけないというところに進んでいる。試合に出られるかを気にするより、次に行きたい」

 1年目からチームの主力ではあった。多くの選手の出入りがあった中で、内田は変わらず右SBを守っている。チームの古株として、もしくは年齢的に中堅からベテランに位置する者として、自覚が備わり始めたようだ。

「1年目はラウルに引っ張られ、ノイヤーに支えられ、もちろん他のチームメイトにも支えられましたけど、それで戦った。その後、主力が何人か抜けて、新しい選手を獲って(チームは変わった)。自分の中でも、これだけ試合に出させてもらったのだから、やらなくちゃ、という気持ちが大きい。支えられているところもあるけど、 走って戦えればいいと思います」

「走って戦うなんて、シャルケっぽいな」と、付け加えながら笑った。これまでとは違う覚悟があることが、言葉からにじみ出る。

 この日のブカレスト戦、前半からペースを握ったのはシャルケだった。だが、ゴールをこじ開けることができない。

「ホームだけど、簡単じゃないってことはわかっていた。相手もCLに出てくるくらいのチームなので。後ろは耐えるだけだった。2試合連続で無失点が続いていたこともあって失点したくなかったし、相手には自由にさせたら怖い選手がいるから」

 悪い雰囲気を察してか、ハーフタイムのロッカールームは静かだったのだと言う。そして後半に入ると一転、試合はブカレストのペースが続く。

「向こうも良い選手が多いから(先制点は)ラッキーだった。後ろはほんとに耐えるだけだった。前が(点を)取ってくれるのを待つ、という。自分的にはセットプレイとカウンターでゲーム展開的にぽろっとやられるのが怖かった」

 そんな矢先に生まれたのが内田のゴールだった。その後は一気に流れが変わり、3-0というスコアにつながった。

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