チェルシー戦で浮き彫りとなった、新生ユナイテッドの問題点 (3ページ目)

  • 鈴木英寿●文 text by Suzuki Hidetoshi photo by Getty Images

 もっとも、結果はスコアレスドローに終わり、スタジアムは怒号と溜息が入り混じっていた雰囲気に包まれた。試合後、モウリーニョは、「結果は順当。両チームともに相手を上回れなかった」と総括。一方、ユナイテッドのDFリオ・ファーディナンドは、「勝ちたかった試合だったが、引き分けは納得できる結果だった」と振り返った。

 ユナイテッド、チェルシーがノーゴールに終わった理由は、それぞれ存在する。モイーズは「プレイ内容は良かったが、ゴール前チャンスでの最後のクロスの精度を欠いた」と語り、モウリーニョは「守から攻のカウンターアタックとパスの出来が良くなかった」と嘆いている。つまり、両監督の言い分を簡潔にまとめると、ともに「アタッキングサードでの攻撃クオリティ」に難があった、ということになる。

 だが、開幕2戦目の出来という点で見れば、攻撃面で軍配が上がったのはアウェーのチェルシーだったように感じる。トップ下のオスカル、左ウイングのアザールを中心とした、1タッチ、2タッチのパス&ムーブは、幾度となく効果的な攻撃形を創出してユナイテッドに襲い掛かっていた。一方のユナイテッドは前述したように、ルーニーの孤軍奮闘ばかりが目立つ試合内容だったと言える。

 まだ、リーグ戦2試合目ではある。だが、結果と内容両面において、オールド・トラッフォードの新たなボスに突きつけられた様々な課題は、決して看過できるものではないだろう。「アタッキングサードでの攻撃クオリティ」という課題に対し、注目の香川真司は、最後まで戦局をベンチで見守るだけに終わった。次節はアウェーでリバプール戦、そして第5節はマンチェスター・シティとの「ダービー」が控えている。上位陣との対決で、今の戦術で通用するのか――。ファンの懐疑は、まだまだしばらく続くかも知れない。

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